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■シトロエン2CVとミニ

2008年06月10日



どうですか、この見事なまでの際立った個性ぶりは。
シトロエン2CV(ドゥー・シュヴォー)です。

排気量600CC、重量600Kg、空冷エンジン水平対向式2気筒。
全長3830mm、幅1480mm、高さ1600mm。
まあ大体のスペックですが、日本の軽四にも似て、以(もっ)て非なる車です。

私がこの車と最初に出会ったのは、1989年。
日本が当にバブルの絶頂期の時でした。この2CVを調べてみると
生産は1948〜90年となっています。その内本国フランスでは87年で
生産打ち切りで、後はポルトガルで作っていたようです。

そうすると私達が扱っていた車は多分ポルトガル製となるのでしょうか。
上記の可愛らしく、個性的な塗装の車種はチャールストンと呼ばれていました。

既に80年代に於いては、車としての価値観は前時代的で、とても日進月歩の
世界の各メーカーの車と互角に戦えるものではありませんでした。

それにしても第二次大戦後、世界は未曾有の発展、破竹の科学技術世界を
切り開いていくのですが、ピークは下りの境目となるか、まだまだ上るか。
上れば上るほど、落差もまた大きく。私はバブルのピークが実は滅びの
序曲だったことを如実に体験もしましたので、人生の綾(あや)なすところも
斯(か)くばかりかと、つい要らぬところに妄想を働かすのですが、さてさて。

’89年(平成元年)。ベンツやBMW、ジャガーの高級外車、
ポルシェやフェラーリのスポーツカー、ロメオ、マセラティ、ロールス・・・。
バブルの全盛時は世界中の高級車が日本に集結しました。

それまでの外車といえば、アメリカ車が主力だったが、
一気に歴史と伝統のヨーロッパ車が、日本を席巻し始めたのである。

その中に2CVが混じったというのは、矢張りモデル後期の郷愁だろうか。
足回りやブレーキなど、高性能を謳ったヨーロッパ車の中で、
そろそろ売り切りですよの感で2CVが日本の市場に溢れたのだ。

同じ趣は、矢張り歴史的なロングランのミニやワーゲンにもいえる。
ミニもこの時期、最早市場は日本しかないとの話も聞いた。
その可愛らしさ、小ささ、そしてきびきびした走り。

ミニもチェルシーとか何とか、最後のネーミングを色々つけて頑張っていた。
そして2CVはチャールストンと銘打ち、マスコットのようにきれいに
ペィンティングされて日本市場に登場したのである。

市場に出回ったといっても、勿論マニア以外の少数を獲得しただけで、
そんなに売れるわけもない。2CVは可愛く個性的ではあったが、
エアコンもなく、パワステもなく、ないないずくしの簡素な車だった。

前時代的な車であるが、それはフランスに於いての発売当初から、
少なからずの嘲笑と懐疑的な見方をされていたらしい。

お洒落なフランス人の、粋(いき)というスタイルからは程遠いが、
そもそものコンセプトが、農民が乗れる車を目指したというからしょうがない。

私もよく動かしたし、まあ乗って走ったりもした。
遠い昔の田舎の凸凹道でこそ実力を発揮したのだろう。
土の匂いがピッタリ似合う。天井の幌がほこりで汚れていた。
タイヤはリヤカーのタイヤのようで、荷馬車、荷車を思い出させる。

遠い昔、半世紀を越える昭和30年代初期まで、日本の道も凸凹だった。
道幅も狭く、曲がりくねり、よく悪路でスプリングを折ったとの話も聞いた。

そんな時代の車なのである。最高時速はそれでも7、80キロ。
必死で100も出たであろうか。ボンネットはひょろひょろの薄い鉄板で、
持ち上げると紙のように心許なかった。ボディーはパイプ仕様で、
これではとても事故や衝撃に耐えれるものではなかった。

ミッションはハンドル下からフロアに水平に伸び、
ニュートラル位置から左へ傾けて押し込む。それが1速だった。
このミッションはルノーの4(キャトル)とかと共通である。
いずれにしてもユニークな車だった。

だがこの2CVが全盛時、大いにフランス国民、庶民の身近な足となり、
又当時の若者たちが、この2CVで世界旅行、
世界を踏破したという事実があるから驚きである。

逆にこのシンプルこそが、そしてこのリヤカーの太目のようなタイヤこそが、
当時の世界の道路事情にあったのだろうと思われる。

だが、後僅かですよ。可愛い車でしょうといっても、中々売れなかった。
あるお客は店頭に飾る装飾品として買っていった。
まあ、これなどは正解である。あるお客は面白いからと買ってはみたが、
日常生活の中の使い勝手に音をあげて、すぐ軽四に乗り換えていた。

ミニのお客にもこのような傾向はあった。
既に日本車の実力は、ヨーロッパ車の歴史を凌駕していたのである。

イメージが先行し、ミニに多大な実力と信頼を抱いたは良いが、
静粛性や操作性、機能全般の全てが軽四の完璧なる質感より劣っていた。

夢を抱いた走行性能さえが、足回りのフィット感や、
ハンドリングに於いて、多分期待を裏切ったのではなかろうか。

日本人の勤勉さのよき面ではあるが、車を大事に大事にする習慣が、
室内からポロッと何かしょうもない部品が落ちるなどという、
考えられない現実とイメージのギャップに戸惑ったのである。

それでもミニは未だ実用可能な実力を秘め、エアコンも装着し、
オートマチック車も出し、排気量も上げて頑張ったが、
車体そのものの限界を振り絞っての抵抗にはやはり限度があった。

老兵去るべく、旧態モデルは、懐古趣味の中に埋没していったのである。

その後のミニは、BMW社に買収され、小さなイメージと可愛らしさの
雰囲気は残しつつ、往時の旧きよき時代の瑕疵(かし)だらけの車体から、
 マイスター魂による完璧な質感に生まれ変わったことはいうまでもない。

フランスの2CV、イギリスのミニ、ドイツのワーゲン。
奇しくもそれぞれロングランの実績を誇る大衆車であるのだが、
何故か民族性を彷彿とさせるのは、決してこじつけだけでなく、
長い歴史の変遷に積み上げた実績がそれを証明するからなのだろうと思う。

ランクを超越して、そのデザイン、個性は定着した。
車としての性能、スピード、ハンドリング、足回り、ブレーキ・・・。

ロングランのモデル故、時代に対応した装備品から取り残されつつ、
その時代の終焉を迎えるのであるが、矢張り懐かしい車だったなあと、
ふと時々思うのである。

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