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■漆黒の支配者

2008年06月19日

平成も20年。結構な時間を積み上げてきた。
そして刻々と忍び寄るのは、環境問題だろうか。

地球の温暖化も言われて久しいが、ここに来て一気にヒートアップしている。
そして学者、知識人の間では、既に実は手遅れなのだという。

北極の氷が想像を超える勢いで溶け出し、
生態系が成り立たなくなっているのだが、氷が薄くなった今を狙って
世界の先進国はその地下資源を我が物にと、
既に稼動し始めているというから最早、
何をか況(いわん)やの状況になっているのかもしれない。

紛争、戦争も常態化してきた。その背後には石油を狙って、資源を狙ってと、
先進国のエゴ経済の論理が、表向きの奇麗事の裏で蠢(うごめ)いている事は
最早誰もが知っている。

そして私は漆黒の支配者の話を聴いた。それは余りにも突飛(とっぴ)で
現実的でない分、尚更その真実味が増したという奇妙な体験を私に得させた。

暗いというより、闇というより、それは漆黒の世界である。
アマゾンの夜の樹上を捕食者は闇と一体となり、足音もなく忍び歩いていた。

樹上の穴に生活するマーモセットという、
体長僅か20センチほどの小さなサルを餌食にするため、匂いを追っていた。

マーモセットは大きな目をした、実に人類とよく似た顔をしている。
人類とも遠縁かも知れぬマーモセットだが、体長20センチは余りにも非力で
毎晩のようにこの猫族の恐怖から逃れるため、巣穴を転々としている。

見つかれば一噛みで連れ去られる。自然界の生はこんな恐怖と
隣りあわせなのである。

1メートル弱の猫化の動物は、地上のジャガーとは棲み分け、
樹上の強烈なハンターである。今しも洞を覗いたが、
マーモセットは夜が来る前に移動したらしい。

全神経を集中し、匂いを追おうとした時、地上から微かな音がした。
地上で休む鳥の気配である。音は直ぐ消えたが、ハンターは注視した。

地上の音の位置を鋭い耳と目と嗅覚と、全ての五感で感知し、距離を測り、
そして音もなく飛び降りたのである。瞬間けたたましく騒ぐ鳥の羽ばたきと声は
すぐさま又、元の静けさの中に吸収されていった。

漆黒の支配者は静かにこの様子を感じていた。
そして人間社会に於いては、つい最近のミャンマーのサイクロン、
間髪をおかず中国四川省の大地震。
又アメリカで相次ぐ竜巻の惨事も全て感知していた。

支配者はアマゾンのマーモセット、鳥。そしてこれ等を狩る猫化の動物・・。
全てと同体化していた。災禍に飲まれる人間、飢えと貧困の人間・・。
テロや銃を手にした、血みどろの人間、そられ共、全て一体化していた。

うとうとと、まどろみの中に全てがある。そしてそれら全てが自分自身だった。

人間のどんなに強くとも、権力があろうとも、大富豪であろうとも、
それらは一瞬の泡のように全てが虚しい。

私は夢を見ていたのだろうか。夢の中で人間の恐ろしい集団が、
ある門へ向かっていた。それは軍隊だろうか。私兵だろうか。
或いは暴力団のような理不尽な集団なのだろうか。

何れにしても、ほの暗い闇の門に向かっている。
その門の入り口にはかがり火がちろちろと赫(あか)い炎を上げている。

門の入り口がほの暗いのは、その赫(あか)いかがり火のせいかも知れぬ。
門の向こうは漆黒の闇だった。怖いもの知らずの集団の一角が、
正に門にたどり着こうとした時、突然かがり火がカッと明確な意思を持って
睨みつけた。

それは人間であるならばとても正視出来る世界の形相ではなかった。
そして門が小さく赫(あか)く燃え始めたのである。それは正しく口だった。
アマゾンのあの猫族の口にも似て、赫(あか)い炎が
人間など餌食にもなりえない非力なものだとあざ笑っていた。

不思議なことに大勢が押し寄せていたはずが、かがり火がカッと燃えた途端、
皆焼け尽きたように雲散霧消してしまった。

ウォーンと唸り声がしたと思ったら、私はとてつもない動物の四肢が
荒れ狂う野獣の群れを一踏みしているのを見た。

そしてそれはがけに激突して大破した車に姿を変えた。
運転席の人が即死し、助手席の人は半身不随となった。

私の知っているニュースの中の一部が明らかになるようだった。
地獄・・。私は声にならない声で叫んだ。
漆黒の支配者は地獄の支配者なのか?

得体の知れない真っ黒な動物が、男の腹を舐めていた。
男は重度のがんとなり、闘病生活の中にいた。
財を成し、権力のあらん限りを尽くす人間の晩年がそうだった。

瞬時に私は色んな、あらゆる物を見せて貰った。
天空から荒れ狂う龍が地上に現れた。竜巻である。
テレビ画面で見る竜巻そのものが、荒れ狂う龍の姿そのものだった。

急にミサイルが飛び交った。核の使用は勝者も敗者もないと知りながら、
いつか人類は自暴自棄になるのだろうか。
かがり火の赫(あか)い口が全てのミサイルを飲み込んでいく。
私は支配者が実は地球そのものだと教えられた。

赫(あか)い口は、まるで原子炉のように、溶鉱炉のように、
苦もなくミサイルや、人類の科学の粋の全てを飲み込んでいく。

私は地球が何度も滅び、再生しているミステリを思い出した。
地球の岩盤層に核融合で溶けたとしか思えないガラス状があるという。

そうか、地球が滅びたのではなく、人類が滅びただけなのだ。私は知った。

今、石油が高騰し、温暖化が進み、自然の生態が狂い始めている。
それは食糧危機を生み出し、貧困と飢餓を生み出し、
それに拍車をかけるように投機が更なる利益を求め、最早手がつけられない。

砂漠化はもう止めようがなく、食糧不足、そして水の枯渇がそこまで来ている。
だが世界の指導者、権力者は尚更生きる模索を求め、悪循環を作っている。

このままでは・・・。私は人類の、地球の行く末を思った。
だが漆黒の支配者が全ての人間を舐め始めたようなのである。

ちろちろと赫(あか)いかがり火が静かに静かに燃え始め、
荒れ狂う男がわめき叫んだとき、かがり火がちらと揺れた。

ビルの五階から、鋼材が一本スルスル滑り出し、
考えられない飛距離を飛んで大邸宅の二階に突き刺さった。
男は即死だった。

医者から余命を告げられた患者を、漆黒の支配者が舐めている。
執刀した医師自身が信じられない奇跡を起こして、腫瘍を摘出した。

怒り狂うライオンだろうか、猛獣のような心を持った人間だろうか。
凄い迫力で圧倒する男の前に、漆黒の支配者がその姿を見せた。

驕(おご)りに驕った人間の、生命の力など屁のような物である。
生命ほど自分のものであって、そうでないものであることを教えられた。

漆黒の支配者は苦もなく男の心臓を噛み砕いた。男は心筋梗塞に倒れた。

かがり火がぎょろっと角度を変え、口がカッと開いて赫(あか)い炎を見せた。
瞬間凄い暴風雨のようなものを感じたが、ミサイルが落ちたのだろうか。

漆黒の支配者がフット吹いた息が、世界を破滅と再生の淵に置いている。

私は小さな息吹を感じて目覚めた。
宿業の背中内部の痛みが軽減されている。

果たして何という夢を見たのだろうか。夢なのだろうかこれは?
本当は言えない事をもっと見たはずだったが、
それが何だったのかがどうしても思い出せないのである。

伏見谷 徳磨

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