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■プリウスの一大事、ちょっと待って

2010年02月23日

さてさて、最近のトヨタの騒動である。
アメリカでフロアマットがアクセルを固定し、暴走して死者が出たり、
直近はハイブリッド車の雄、プリウスのブレーキ騒ぎである。

これにはアメリカの殊更の陰謀説も出たり、トヨタのマンモス化が言われたり、
まあどれにも一因があり、その通りの部分もあるのだと思うが、
要はプリウスのブレーキのABS(アンチロック)の問題である。

トヨタの社長がブレーキが抜けるという感触があったと言い、
その前の広報だろうか、常務はユーザーの感覚の違いと言った。

私はなるほどと思った。どちらもこれまた合っている。答えとして正解である。
問題はこれを欠陥、品質不良と捉えるか否かである。
どの視点で見るかで大きく判断が別れる。

だがこれで事故が起きたり、死者が出たり(不明)すると矢張り問題である。
実際に追突事故は起きたらしい。要は消費者の立場、目線、
感覚に比重を置かなければいけないと思う。

その意味で言うと、最近のクレームも随分その質を変えたなということである。
本来の品質、材質から製造過程の仕上がりまで、又その質感の全体像、
それらの本質を問うより、些細な末葉を取り上げすぎる傾向にあると思う。

これも相手を責める、自己主張、自分だけが良ければという、
現代社会の風潮をバックボーンにしているせいだと思う。

今ではABSも当たり前になったが、昔の私の記憶を一つ。
国産にABSがない時代、ベンツを女性客に販売させてもらった。

ドライバーは男女に限らず、そこそこ運転技術を自慢したりが多い。
ベテラン気取りなのだが、ある冬の朝、この女性客から電話が入った。

「ちょっと、このベンツのブレーキおかしいわよ。危なかったのよ」
直ぐ駆けつけると、ブレーキを踏んでも効かなかったと言う。

その日の冬の朝は、いつもより寒気が厳しく、路面は所々凍っていた。
ブレーキを踏んでも効かなかった。怖かった。凍って滑ったのじゃないと言う。

直ぐ車を預かり、私自身も試乗したが修理屋も私も異常を見出せなかった。
結論はABSの為せる技である。トヨタ社長がプリウスに
0,6秒のタイムラグと言ったそれである。

ABSは路面凍結や、急ブレーキにその威力を発揮する。
要はブレーキを踏んだ際、ロックして滑るのを防止する装置である。
ポンピングと言われるが如く、私らは若い頃、自分の足でブレーキを
踏んだり外したりと操作していたものである。

ブレーキがロックすると滑りやすくなる。
それを機械的にポンピングして、ロックだけの状態を緩和する。
そのタイムが0,6秒なのか、0,4秒なのか、はたまた0,3秒なのかが
今回の問題だった。

私は女性客にABSのせいというか、ABSであるが故の
操作性である事を説明した。強く踏めば、ガガガガッと、
確かに衝撃があるが、これが結果的にブレーキング効果を
高めると説明したのである。

勿論、女性客は納得しなかった。おかしいと言う。怖いと言う。
私は兎に角様子を見て下さいと粘った。幸い以後、
その日の朝のような状況は来ず、女性客は段々の日々の流れの中で、
果たしてどう思ったのだろうか。

ABSの動作性を私の説明通りに受け取ったか、
矢張りおかしいと思ったままなのかは分らないが、
未だ20年前は、今のように徹底的に相手の非を突く世ではなかった。

これまでに何台もの車に乗ってきている。車は充分知り尽くしている。
と言うのがドライバーの大半だろう。そしてその感覚を大事にして、
自動車産業はより良い物に、よりハイクォリティーな物にと進化を遂げてきた。

今回のトヨタのクレーム騒ぎは、アメリカ発とも言われている。
それは単にバッシングではなく、政治絡みとも言われ、
中々複雑な背景もあるようであるが、先ず世の方向性の問題である。

曖昧模糊、まあまあ、譲り合いが昔の日本にはあった。
それが昨今は益々ドライにアメリカナイズ化(?)され、
全てに白黒が優先され勝ちされそうな気がする。
いざ勝負、さあどうだ、あんたが悪い、そっちが悪い・・・。
法律とにらめっこで相手を追い詰める。何とも殺伐としてきたものである。

ウェットな日本や、東洋の文化思想が何だか懐かしくなるような、
今回の騒ぎだったような気もする。徹底的に相手を痛めつけ、
それによって優位性を保とうとする。そしてそれによって
お互いが切磋琢磨してより近代的な世の中を作り上げていく。

意味合いは分るが狩猟文化と農耕文化、移動文化と定着文化、
まあ陸続きの民は過酷な歴史の智恵をインプットしている。
生きるとは即ち、即戦いという切り替えがハッキリしている。

まあ少しお手柔らかにと申し上げたいのだが、
日本も既に世界に出て戦っているわけである。
ここは日本の情緒、文化も持ち合わせながら、
矢張り世界のスタンダードも身に付けねばなと、しみじみ思ったのである。

伏見谷 徳磨

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